2021年冬は減る【給与勧告・支給日・計算方法】公務員のボーナス

公務員

 公務員になったら、公務員のボーナスのことを理解できると思っていました。

 しかし、公務員の職場風土として、あまりお金について教えてくれる職員は少ないです。

夫

今回は公務員のボーナスについて、ゼロから学んでいきましょう!

 なんと、新人1年目公務員でもボーナス、つまり賞与(しょうよ)は貰えますよ。

 今回は、下記3点について詳しく解説していきます。

  1. 人事院から学ぶ給与勧告のしくみ
  2. ボーナスに関する計算・算出方法について
  3. 今年(2021年)のボーナスは減るその根拠
夫婦
夫婦

今回学べることは、ベテランの公務員でも知らないことが多い内容です。

 では早速、一緒に学んでいきましょうっ!

こんな人に読んでほしい
  • 公務員の新人1年目で、ボーナスについて何も知らない人
  • 人事院?給与勧告?聞いたことはあるけど、中身はまったく知らない人
  • 「公務員は民間平均のボーナスと同じくらい」という感覚を持っている人
  • 今年(2021年)のボーナスは減る、その根拠を知りたい



人事院から学ぶ給与勧告のしくみ 〜そもそも人事院とは?〜

 公務員は、憲法で『全体の奉仕者』とあり、行政業務をするたっては中立・公正性が強く求められます。

 では、人事院とはいったい何者なのでしょうか?ゼロから学びましょう。

 人事院はその名のとおり、人事行政を担当しており【給与・採用試験・任用・分限・研修・懲戒】などの公正の確保・利益の保護について担当しています。

夫婦
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「公務員たち、ちゃんとやってる〜?最近どう〜?」と管理・監視している感じですね。

 中立的な立場・第三者機関として、設けられている『委員会』です。

 ちょっと特殊なんですが、人事院自体は内閣に属しているのですが、その権限は内閣から独立して行使することができる組織なんです。

読者
読者

いや、そもそも“内閣”ってなんだっけ?

出典:内閣官房内閣広報室 首相官邸きっず 社会科を学ぼう! 三権分立って何?

https://www.kantei.go.jp/jp/kids/sanken_naikaku.html
内閣
内閣

“三権分立”を思い出しましたね。

私たちが内閣のトップ集団です。

 ちなみに、この『人事院』からの勧告(相手方の任意の協力同意を得て、その意思を実現しようとする行為)を受けるのは“国家公務員”だけです。

 したがって、例年8月(2020年は10月)に行われテレビニュースにもなる人事院勧告」で影響を受けるのは、国家公務員約30万人のみで、地方公務員約275万人は人事院から“直接”影響は受けません。

夫婦
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地方公務員が影響を受けるのは、各地方自治体毎に必ず設置されている、個別の『人事委員会』等です。

もっと詳しく知りたい

【地方公務員法第7条(人事委員会又は公平委員会の設置)】

  1. 都道府県及び地方自治法第252条の19第1項の指定都市(政令指定都市)は、条例で人事委員会を置くものとする。
  2. 前項の指定都市以外の市で人口15万以上のもの及び特別区は、条例で人事委員会又は公平委員会を置くものとする。
  3. 人口15万未満の市、町、村及び地方公共団体の組合は、条例で公平委員会を置くものとする。
  4. 公平委員会を置く地方公共団体は、議会の議決を経て定める規約により、公平委員会を置く他の地方公共団体と共同して公平委員会を置き、又は他の地方公共団体の人事委員会に委託して次条第2項に規定する公平委員会の事務を処理させることができる。

 この人事委員会等は『人事院勧告』が行われた約2ヶ月後に、職員の数など本来計算方法が違うはずなのですがぶっちゃけ人事院が決めた中身とほぼ同様の「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行います。

 したがって結局は、地方公務員も国家公務員と同じような給与勧告を受けるわけです。

【公務員のデメリット】と【人事院】の関係について

 公務員のデメリットを考えたことがあるでしょうか?

 実はいろいろあるんです。

 まずその1つが、公務員は『労働基本権』の一部が制約されています。

夫婦
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一般企業の会社員であれば【団結権】【団体交渉権】【団体行動権】の3つがありますね。

 「公務員の場合でしょ?当然知ってるよ、当たり前だよ〜。」という方のために、ちょっと珍しい、主要国の公務員の労働基本権の情報をお持ちしました。

 退屈はさせません!

出典:国公労新聞 第1237号 共同ひろげ労働基本権回復へ 図表3 主要国の公務員の労働基本権の概要

 ご存知のとおり、日本の公務員は団体行動権(ストライキ)ができません。

夫婦
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世界を見渡すと、ヨーロッパ圏の公務員はストライキがOKなことに驚きですね。

 つまり日本では「給料が低い!これじゃ仕事やってられるか。仕事やらねぇ!」ということができません。

 少し余談ですが、新人公務員時代に『労働組合』って入らされましたか?

 私たちは、労働組合に入らない方がいいとハッキリと申し上げます。なぜなら、

  • 給料から天引きされ
  • 年功序列に組合費は高くなり
  • そもそも労働基本権に制限があり
  • 最終的には、給料や賞与は人事院勧告で決まる

 からです。完全な余計な固定費です。

夫

おそらく、理由を聞かれたりと骨が折れる脱退申請が必要になりますが、いますぐ逃げましょう。

 これでは公務員がFIREすることを目指していても、目標が遠ざかってしまいます。

 また、公務員のデメリットに『雇用保険法の対象外』というのが挙げられます。

 「法律で身分が保障されており、失業を想定していないから」が主な理由です。

 雇用保険に入っていないので、失業手当が貰えません。

 失業手当とは、就職出来る状態、就職する意思がある失業者に支払われる給付金で、退職前6ヶ月の給与の平均60%が貰える制度です。

 通常の会社員であれば、退職手当+失業手当が貰えます。公務員は退職手当に全て含まれているという考え方です。

夫婦
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公務員の退職手当が民間より少し手厚いのは、失業手当等が加味されているからです。

 そして、なぜか教育訓練給付金が貰えません。

 教育訓練給付金とは、一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付があり、「IT関係・看護師・美容師・調理師・医療事務・経理・簿記・デザイン」など通常の会社員であれば、働きながらスキルアップするための“資格取得”に援助金が貰える制度です。

 公務員にスキルアップは不要!というお達しでしょうか…。

 このように、公務員は民間企業に勤めている労働者と異なり、労使交渉を通じて給与を決定することができなかったり、各種手当金が貰えなかったりします。

 その代償機能を担う機関として、人事院や人事委員会等が設置されているわけです。

夫

日本を支えている公務員の正しい評価をして、お給料やボーナスをキチンと決めてくださいね。



【重要】ボーナス(賞与)について

 私たちが普段言う「ボーナス(賞与)」とは【期末手当】と【勤勉手当】を合わせたものを指します。

  • 【期末手当】とは、「期末手当は生計費が一時的に増大する時期(6月と12月)に、生計費を補充するための、生活補給金としての性格を有する手当」のこと。
  • 【勤勉手当】とは、「勤務成績に応じて支給される、能力給の性格を有する手当」のこと。
夫

公務員でも“人事評価制度”が導入されていますが、それは【勤勉手当】にしか反映されていないのです。

 その他、『産前産後休暇、療養休暇、介護休暇、年次休暇、夏季休暇』などいくらとっても、ボーナスはキチンと貰えます。

 産前産後休暇も貰えるのは、育休を取るにあったって嬉しいですね。公務員の育休については是非学んでくださいね。男性も法律が改正されました。

支給日

 実際に銀行口座にお金が振り込まれる“支給日”ですが【国家公務員】のボーナスは

  • 夏が6月30日
  • 冬が12月10日

 と実は法律で定められています。

 【地方公務員】は各地方自治体の条例『職員の期末手当及び勤勉手当に関する条例』によって各々に定められており、日付は必ずしも国家公務員と同じではありません。

夫婦
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国家公務員より早いところもあれば、同じところある。

むしろ、同じところが多いという印象です。

基準日

 次に、あまり気にしたことがないであろう“基準日”についてです。

 基準日とは、その年度のボーナスを算出するための基準となる日のことです。

  • 夏が6月1日
  • 冬が12月1日

 です。これは後に出てくる【在職期間】に影響します。

 つまり、”前年12/2~6/1″までの在職期間で6月のボーナスが6月1日に決定し、”6/2~12/1″までの在職期間で12月のボーナスが12月1日に決定します。

夫

欠勤や休職が、万が一あった場合に覚えておきたいですね。

計算方法【早見表】

 分かりやすいように今年度(令和3年度)版の、早見表を作成しました。

 大まかに『若手職員』『中堅職員』『(所属)長級職員』の3つに分けて作成しましたので、ご自身の役職と照らし合わせてご確認くださいね。

若手職員

 新採用1年目でも、ボーナスがいくらか入ることが分かります。

 【勤勉手当】には、扶養手当が計算に入っていないのがポイントですね。

 【成績】は国家公務員、地方公務員は各地方自治体で違いますので、一度確認してみてくださいね。

 また、これまでは、S・A・B・C・Dの5段階評価でしたが、今年2021年10月の下半期から変更(国家公務員)になります。

 「卓越して優秀」「非常に優秀」「優良」「良好」「やや不良」「不十分」の6段階になります。

夫婦
夫婦

地方公務員も、国家公務員に遅れて変更になりますので、覚えておきたいですね。

中堅職員

 偉くなると、掛け算で増えていくのがポイントですね。

 【職務段階別加算額】は国家公務員、地方公務員は各地方自治体で違います。

 調べてみると、だいたい主任級で 3~5% 、係長級で 6~10% 、課長級で 15% 、部長級で 20%だそうです。

長級職員

 【管理監督加算額】も国家公務員、地方公務員は各地方自治体で違います。

 だいたい 15%~25%だそうです。



今年(2021年)のボーナスは減る根拠

 近年の世界的情勢の変化で、2020年初めから各業界厳しい業績となっています。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経済レポート 2021年夏のボーナス見通し

 このように、民間企業の夏のボーナス支給予想も前年比マイナスです。

 すると、民間の基準に合わせる公務員も下がる。

 7割くらい正解ですが、詳しく説明します。

夫

ここからは「人事院勧告」を思い出しましょう!

 人事院では、「国家公務員の4月分の給与」「民間企業の4月分の給与」を調査した上で、比較し、得られた較差を埋めることを基本に勧告を行っています。

 ここまでをフローチャートにするとこのようになります。

出典:令和2年10月 人事院 給与勧告の仕組みより一部編集

 記憶に新しいと思いますが、公務員の2020年冬のボーナスは全然下がりませんでしたね。

 2020年10月(例年だと8月)の人事院勧告の中身は、「給与の改定なし」「ボーナスを引き下げ(0.05%減)」でした。

 上のフローチャートだけだと、

民間の方
民間の方

去年4月の給与比べて、公務員はこれしか下がらなかった。公務員恵まれすぎ!

 と思うことでしょう。

 しかし、実際のフローチャートは下のとおりです。

民間の方
民間の方

うわ、めっちゃ複雑だ。中央上段から横槍も入ってるし、なんなん?

 ひとつだけ補足しましょう。

 「民間給与の調査」の中でボーナスと書いてある囲いがあると思います。

 これは人事院が、民間のボーナスの直近1年間(前年8月から当年7月まで)の支給実績を調査しています。

 2020年10月の「人事院勧告」報告した内容では、病原による世界的情勢の変化がまだなかった、2019年8月〜2020年7月の期間で計算されています。

夫婦
夫婦

つまり、まだ世界が平和だった、業績が良かった頃の数字が集計されていたのです。

夫

今年(例年だと8月)の人事院勧告は気を付けろ〜。公務員でもモロに経済ダメージくらうぞ〜。

 そういうことです。

 今年の人事勧告は例年通り8月か、または2021年と同じ10月か分かりませんが、次の人事院勧告では2020年8月〜2021年7月が集計されます。

出典:みずほリサーチアンドテクノロジーズ 2021年夏季ボーナス予測より一部編集

 よって、緑枠で囲った部分がモロに反映されるのです。

 これが、今年の冬のボーナスはさらに下がるという根拠です。

 あと、先程のフローチャートの中央上段から横槍も忘れてはなりません。

 『有識者、意見交換、要望、意見聴取』によっても、左右されます。

夫

公務員のボーナスが下がれば、それだけ税金余るしそれで民間への経済対策ができて、〇閣の支持率も上がるね!

 夫だけに、おっと、危ない。

 今回は以上になります。

 大変難しい内容を長文にわたり、読んでいただきありがとうございます。

 私たちは、公務員のボーナスは上がった方が景気が良くなり、日本の未来は明るいと思っております。

 日本全国津々浦々に、まんべんなく配置された公務員がお金を使った方が、一部の人たち(民間の経営陣や団体)にお金が偏るといったことが少なくなります。

 また、公務員は『わけの分からない暴言など無く・接客していてめんどくさく無く・比較的常識人で、お金を持っている・飲み会など盛大に開く(お金を使うときは使う)』と、ぶっちゃけ客としては優秀で扱いやすい人間です。

 いずれにしても、また経済活動が活発になり再び平和な日常が戻り、日本人全員のボーナスが上がる日が待ちどおしですね。

 

 最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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